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重要なお知らせ

公益社団法人 日本矯正歯科学会 ポジションステートメント マウスピース型矯正装置による治療に関する見解

第ニ版 2022年7月15日

公益社団法人 日本矯正歯科学会

 昨今、マウスピース型矯正装置を用いた矯正歯科治療、いわゆるアライナー矯正(アライナー型矯正装置を用いた矯正治療)を行う歯科医院や業者が乱立しており、このようなアライナー矯正に対する患者様からの問い合わせが多発しております。現在、本邦において問題となるアライナー矯正には大きく分けて2つの種類があります。1つは、技工物としての体裁を整えているが、適切な診察、検査、分析、診断、治療経過の確認が行われていないアライナー矯正、もう1つは、医療機器ではない雑品(注1)を用いたアライナー矯正です。このようなアライナー矯正にはそれぞれ以下の問題点があります。

1)技工物としての体裁を整えているが、適切な診察、検査、分析、診断、治療経過の確認が行われていないアライナー矯正について
 大手運送業者と提携し、アライナーを直接患者様に配送して、矯正歯科医(矯正歯科に関わる専門的研修を修了している歯科医師)による適切な診察、検査、分析、診断、治療経過の確認を疎かに行ったアライナー矯正は、予期せぬ大きな問題を引き起こす可能性があり歯科医学的観点から非常に危険です。

2)雑品を用いたアライナー矯正について
 医療機器として認められていない機器で作製されたアライナー(雑品)を用いて歯の移動を行っている歯科医院が多く存在します。医療機器として認められていない機器で作製されたアライナー(雑品)による歯の移動結果は保証されず、アライナー(雑品)使用後の噛み合わせの不具合等は、歯の移動を行った歯科医師が全責任を負うことになります。また、雑品と知りつつ歯の移動処置を受けた患者様にも、長期の治療期間を経ても適正な歯の移動結果が得られない等の不利益が生じる可能性があります。

 一度矯正歯科治療で誤った歯の移動を行なった場合、その改善を行う際には、長期の治療期間を要し、矯正治療の難易度が高くなります。 
 国民の皆様におかれましては、アライナー矯正を受けるにあたり、まず、医療機器として認められた機器を用いて作製されたアライナーであるかどうかを確認され、その上で、矯正歯科治療が円滑に進むように、細やかな治療が受けられる歯科医院や装置をご選択いただき、適正な矯正歯科治療を受けていただくことを推奨します。

 マウスピース型矯正装置による治療に関してご不明な点があれば、かかりつけ歯科医等にご相談されることをお勧めします。

注1:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)で定められた医療機器に該当しないもの,またはそれによる作製物,技工物に該当しない海外作製物 等(一般的な雑品の例:歯ブラシ,デンタルフロス 等)

公益社団法人 日本矯正歯科学会 ポジションステートメント マウスピース型矯正装置による治療に関する見解 第二版

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第一版 2019年6月5日

公益社団法人 日本矯正歯科学会

1) インターネット上で、歯科医師が介在しない形でマウスピース型製品が販売され、歯列の改善への有効性を謳うケースが出てきています。矯正歯科治療は、正確な診断や精密な治療計画に立脚して行われるべき医療行為であり、誤ったマウスピース型製品の使用は予期せぬ大きな問題を引き起こす可能性があります。患者自身の独自の判断でこれらの製品を使用し歯の移動を行うことは、歯科医学的にも非常に危険であるため絶対に避けてください。

2) マウスピース型矯正装置による治療には、以下の利点・欠点を踏まえた適応症の判断や専門的知識を要することから、大学病院等や学会が認める基本研修機関において十分な矯正歯科領域全般にわたる基本的な教育と臨床的なトレーニングを受けた歯科医師による診察、検査、診断を基に治療を行うことを推奨します。

欠点

  • 歯の移動量の少ない症例に限られる(軽度の乱杭歯、軽度の歯の空隙、矯正治療後の軽度の後戻り等)。
  • 毎日長時間の装着を必要とし、使用状況によって効果が大きく異なる。
  • 小児や骨格性要因を含む症例には適さない。
  • 現在の医療水準で考えれば精密な歯の移動は原則として困難で、満足のいく治療結果が得られない可能性がある。

利点

  • 他人から見えにくい装置である。
  • 装置の着脱が簡単で食事や歯磨きがし易い。
  • 金属アレルギーを有する方も使用できる。
  • 診療室での治療時間が比較的短い。

参考資料:

リンク

マウスピース型矯正装置による治療に関してご不明な点があれば、かかりつけ歯科医または日本矯正歯科学会認定医等にご相談されることをお勧めします。

公益社団法人 日本矯正歯科学会 ポジションステートメント マウスピース型矯正装置による治療に関する見解

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